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水田決議円卓会議準備会

水田決議円卓会議準備会
~水田の生物多様性についての
日本の政府と市民団体の継続的な定例会議~

 日本のNGOと政府は2009年7月以降、ほぼ毎月、非公式会合を持っている。会合の目的は水田の生物多様性を高めることである。この非公式会合は水田決議円卓会議準備会と呼ばれる。参加者は、日本の環境省、農林水産省、国土交通省の水田の生物多様性の向上に関わる担当者とNPO法人ラムサール・ネットワーク日本の水田部会の実務者の会合である。
 この会議の最初の目的は、2008年10月のラムサールCOP10における決議X.31「湿地システムとしての水田の生物多様性向上」の採択をもとに、その実施について政府とNGOが検討する円卓会議を立ち上げる準備のためにNGOから政府への働きかけによって発足した。この決議は、日韓NGOが支援し、両国政府が提案し、採択された。当初の目的は2010年に名古屋で開催される生物多様性条約COP10で、同様の決議を提案することであった。しかし正式の「円卓会議」となると、参加者の職位や省内の事前協議など、自由な議論を行う上での制約があることがわかった。そこで方針を変更し、実務者同士の非公式会合を開くこととした。それ以来、非公式会合はほぼ1ヶ月半ごと3か月に2回開かれ、率直な意見交換が行われて、実務的な結果が得られている。
 この会合の一つの成果は条約会議の協議内容に対する政府とNGOの連携作業である。最初の目的は2010年生物多様性条約COP10で上記のラムサール「水田決議」を生物多様性条約の決定に何らかの形で組み込むことであった。準備会で草案を練り上げ、FAOの協力も得てサイドイベントを行った。日本政府の提案により、「ラムサール決議X.31を歓迎し、農業生物多様性に対する重要性を認識し、該当する締約国にその完全実施をもとめ」、 「農業生態系、特に水田生態系の重要さを認識し、FAOを含む関係機関にその研究を勧める」とした2つのパラグラフを加えた決定X/34「農業の生物多様性」の採択に到った。
 話題は政策に直接関係あるものもないものも含まれるが、水田の生物多様性向上に関する双方の活動を紹介し合っている。政府の政策を理解し、また政府は民間の活動を知ることで、現場の農業者・市民と政策を策定する政府の橋渡しとなっている。またこの会議がきっかけとなって、ラムサールCOP11に向けて田んぼの生物多様性に関する実践例・発表をまとめて作成した事例集【英文】を作成するという環境省とNGOの共同作業も生まれた。この事例集にはFAOが東南アジアで行なった水田の複合生産性に関する研究も含まれる。
 しかし、この会合の最大の成果は、NGOと政府、また政府内の省庁間の理解が深まったことである。省庁を横断した実務者とNGOの実質的かつ自由な、そして定期的な意見交換は日本のNGOにとっても政府にとっても貴重な機会で、現行の「生物多様性国家戦略2012-2020」の中でも言及されている。この会合を通じて新たな政策へのアイディアも生まれてくることを期待している。