2020年までの10年
このプロジェクトは、2013-2020 年に行ってきた、「田んぼの生物多様性向上 10 年プロジェクト」 (略称:田んぼ 10 年プロジェクト)の後継プロジェクトです。 2010年に名古屋で開催された生物多様性条約COP10で、2020年までに生物多様性の回復をめざす20の「愛知目標」が採択されました。「田んぼ10年プロジェクト」はこれを田んぼで実践する取り組みで、のべ300以上の個人/団体にご参加・活動いただきました。 またこの活動は、多様なNGOなどを束ね、民間の立場から愛知目標の達成をめざす、「にじゅうまるプロジェクト」にも参加し、その牽引にも貢献してきました。さらに、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の連携事業にも認定され、愛知目標の達成をめざすモデル事業として注目され、2020年までに、大きな成果を上げることができました。
2030年に向けた「生物・文化多様性」プロジェクト
その一方、目標を達成できなかったものや、新たな課題も出てきました。そこで後継のプロジェクトとして、「田んぼの生物・文化多様性2030プロジェクト」(略称:田んぼ2030プロジェクト)を立ちあげることになりました。 田んぼ2030プロジェクトでは、田んぼ10年プロジェクトを継承し、新たな仲間にもご参加いただき、田んぼの生物・文化の多様性の取り組みの普及をめざします。 これまでの活動を通じ、田んぼの景観と生物相は、地域ごとに実に多様であることが分かりました。またその多様な田んぼを支えてきたのは、地域固有の特性を活かした地域の方々の長年にわたる営みで、その重要性を再認識しました。新プロジェクトでは、それを「田んぼの文化」として位置づけ、プロジェ クトの名称にも「文化」を取り入れることにしました。 田んぼの生物多様性と田んぼの文化は、長続きする農業を支える車の両輪で、どちらが欠けても機能を果たせません。最近は田んぼの生物多様性の劣化に歯止めをかけることが必要だという認識は、不十分ながら広がってきました。その一方で、それを支えてきた田んぼの文化の劣化は、未だ急速に進行しており、それに歯止めをかける取り組みは重要不可欠になってきました。 田んぼ2030プロジェクトは、田んぼを切り口として、生物多様性条約のポスト2020年目標と、よりよい世界をめざす国連の持続可能な開発目標(SDGs)の考えを田んぼで実践できる目標に置き換えたものです。そして、関連する活動である、持続可能な農業システムを支援する国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産(GIAHS)やユネスコの世界文化遺産、生物の多様性を育む農業国際会議(ICEBA)への登録・取り組み団体などとの連携も深めながら、愛知目標(中期ゴール)と、SDGsのゴールの年でもある2030年までに、田んぼの生物・文化多様性の主流化の達成をめざします。
プロジェクト関係する諸活動